風の音

いつものカフェで、いつものハーブティ。 暫くはぼんやりしていて、波の音に気づく。 いつもは、聞こえない波の音。 今日は、大判ストールが必要なくらいに少し冷たい風が強く吹いている。 水面を見れば、風に煽られるように小さな白波が幾つも幾つも打ち寄…

神様が意地悪なのか、私が愚かなのか

10代は、ただただ好きで苦しくて 想うだけで胸がいっぱいになって、存在を感じるだけで身体中に心臓の鼓動が鳴り響いて、目が合えばそれだけで何日も何日も幸せな気持ちで満たされていた。 恋しているときは、恋が私のすべてだった。20代は、想うより想…

小説

突然の電話だった。 もう来ないはずの電話。 待たないことを決めてから一月ほど経っていただろうか。 驚きと戸惑いと、沸き上がる切なさで、携帯をもつ手が震える。出ないことなどできようもなかった。 「……はい。」 「よかった、出てくれて。会いたいんだ」…

海と空の境界線が交ざるとき

明日から暫くは雨の予報を聞いて 今日のうちに春の陽気と海を堪能しておこうといつものカフェに向かう 心の栄養補給といったところだろうか 朝からの眩しすぎるくらいの太陽や汗ばむくらいの気温を、走らせる車の中で充分に感じながら海につく頃、思ったより…

いつものことだけれど、いつも少し違って大切

広く広く晴れ渡る空 雲があってもなくても ぼかぽかと暖かく微睡み気味の街を ゆっくりと移動する 風も今日は心地よく花の咲くのを誘うように 優雅に吹きすぎてゆく こんな日は、陽当たりのいいリビングで寛ぐのか 海沿いのカフェまで行こうか いつも、迷う

君は、お寺を巡るのが好きだと言う 心がしんとなって、頭の中が空っぽになるような そう、無になる感覚が好きだとわかる気がする 私は海を見ていると、もう何がなんだかわからないくらいに絡み合った言葉や想いが するするとゆっくりほどけていくのを感じる …

君といる時間は、いつもあっという間に過ぎるね 話すことなんてたわいもなくありふれたことばかり いつも、映画やドラマや休みの日に行った場所のことと時々恋のはなし 何が面白いのか、そんなに楽しいのか 毎回たくさん話してたくさん笑って ほんとうにあっ…

住むところ

海が見えて 波の音が聞こえて 時折、風に潮の香りが混ざる そんな場所晴れの日が多くて 海がとても穏やかな太平洋側がいいのデッキテラスで 座り心地のいい椅子に揺られながら ぼんやりと心を解き放つそんな場所で、好きな人と暮らせたら ほんとうに幸せ

ひとり

夢中で走ってきた昨日までは平気だった、一人だということ。 平気というより、ちょうどよかったという感じだった。 忙しい仕事と繁雑な日々の出来事で手一杯で、決まった誰かと定期的に会ったりするのが、楽しみというよりも義務になりそうな毎日だったから…

一人の時間

私の癒しのひとつに週末海の見えるカフェで過ごす時間がある。 海沿いの丘陵地から水平線まで広がる海をただぼんやりと眺めて過ごす時間はなんとも言えず時に愛しささえ感じる時間だ。 海までの坂道沿いの家にはゆらゆら洗濯物が揺れていたり、その先には赤…

海が好き どうしてかと聞かれても、理由なんて知らない ただ、どうしようもなく好きで いつかは、海の傍に住みたいと思うバルコニーから海が見えて 波の音が聞こえて 週末には砂浜を歩いたり、寝転んだり そんな日常がいつか叶いますように

おもうこと

耳を澄ませば 束の間の静寂のあと、ゆっくりと聞こえてくる 例えば鳥の声 電線の上で何を歌うのか、どんな相談をしているのか 例えば、子どもたちの笑い声 嬉しそうに楽しそうに、どこかへと駆けてゆく 小さな補助輪付きの自転車の音 はしゃぐ子どもと支えよ…