2018-01-01から1年間の記事一覧

風の音

いつものカフェで、いつものハーブティ。 暫くはぼんやりしていて、波の音に気づく。 いつもは、聞こえない波の音。 今日は、大判ストールが必要なくらいに少し冷たい風が強く吹いている。 水面を見れば、風に煽られるように小さな白波が幾つも幾つも打ち寄…

神様が意地悪なのか、私が愚かなのか

10代は、ただただ好きで苦しくて 想うだけで胸がいっぱいになって、存在を感じるだけで身体中に心臓の鼓動が鳴り響いて、目が合えばそれだけで何日も何日も幸せな気持ちで満たされていた。 恋しているときは、恋が私のすべてだった。20代は、想うより想…

小説

突然の電話だった。 もう来ないはずの電話。 待たないことを決めてから一月ほど経っていただろうか。 驚きと戸惑いと、沸き上がる切なさで、携帯をもつ手が震える。出ないことなどできようもなかった。 「……はい。」 「よかった、出てくれて。会いたいんだ」…

海と空の境界線が交ざるとき

明日から暫くは雨の予報を聞いて 今日のうちに春の陽気と海を堪能しておこうといつものカフェに向かう 心の栄養補給といったところだろうか 朝からの眩しすぎるくらいの太陽や汗ばむくらいの気温を、走らせる車の中で充分に感じながら海につく頃、思ったより…

いつものことだけれど、いつも少し違って大切

広く広く晴れ渡る空 雲があってもなくても ぼかぽかと暖かく微睡み気味の街を ゆっくりと移動する 風も今日は心地よく花の咲くのを誘うように 優雅に吹きすぎてゆく こんな日は、陽当たりのいいリビングで寛ぐのか 海沿いのカフェまで行こうか いつも、迷う