君は、お寺を巡るのが好きだと言う
心がしんとなって、頭の中が空っぽになるような
そう、無になる感覚が好きだと

わかる気がする
私は海を見ていると、もう何がなんだかわからないくらいに絡み合った言葉や想いが
するするとゆっくりほどけていくのを感じる
そうして暫くすると、頭の中も心の中もしんと静まり返って
なんだかほっとする
そうするともう何もなくなってしまう
溢れる言葉も沸き上がる感情も何もなく
あとはもうただぼんやりと海を見つめるだけ

その時に在るのは、ただ海と空と雲と
時々の風だけ
ただそこに在るという力強さに守られている時間だけ
いつか一緒にそんな時間を過してみたらどんな風に感じるのだろう