一人の時間

私の癒しのひとつに週末海の見えるカフェで過ごす時間がある。
海沿いの丘陵地から水平線まで広がる海をただぼんやりと眺めて過ごす時間はなんとも言えず時に愛しささえ感じる時間だ。
海までの坂道沿いの家にはゆらゆら洗濯物が揺れていたり、その先には赤い小さな車がいつも停まっていて、どこかから聞こえてくる子どもたちが駆け回る足音や呼び掛ける両親の声が、柔らかな陽射しの下で幸せの形を描いている。

家々のその先に広々と静かに広がる海は、何を語りかけることもなく昨日を問いただすこともない。
時折緩やかに吹きすぎる風は、そっと心の中にある重い何かを綺麗に優しく連れ去ってくれる。

週末のせいぜい二時間くらいのこの時間が、それ以外の忙しく繁雑な日々を支えている。