神様が意地悪なのか、私が愚かなのか

10代は、ただただ好きで苦しくて
想うだけで胸がいっぱいになって、存在を感じるだけで身体中に心臓の鼓動が鳴り響いて、目が合えばそれだけで何日も何日も幸せな気持ちで満たされていた。
恋しているときは、恋が私のすべてだった。

20代は、想うより想われて、優しい人が多かったように思う。大切にされて、気遣われて守られて、夢見心地のままに日々は過ぎていた。
いつも誰かが傍にいて、寂しさをまだ知らないまま、人並みに結婚した。

30代になると、愛と打算と孤独が混ざり合い始めて、それでもまだ想われる優しさの中で生かされていた。
ただ、単調に過ぎる日々が私の存在を消していくようで、底無し沼に飲み込まれるような不安が広がり始めていた。
そうして、もがきながら、生きている実感を求めて、気づいたら一人になっていた。

40代、懸命に生きてきた日々に一区切りがつこうとしているこのとき、このまま一人で生き続けることを辛く感じている。
心を満たしあえる誰かと、残りの日々を大切に生きてゆきたい、そう切実に願うようになった。
けれども、いま、出会うということ、心を通わせるということが、実はとても奇跡のようなことだったのだと実感している。
素敵だなと感じても、どんなに心がときめいても、何かしらの障害があって踏み出せないことが多い。
既婚者だったり、一回り以上も年下だったり……。
想ってくれている人には、心が動かないのもどうしようもない。
神様の意地悪で運命がすれ違っているのか、私が愚かで大切なことを見落としたりチャンスを逃しているのか……。

このままもう誰にも愛されないまま、年老いていくのかと感じるとき、絶望に似た目眩に襲われる。
一緒に笑い合えて、支え合えるそんな誰かに、もうすぐ出会えると信じたい。